障害者の健康管理について

20数年前、重度身体障害者授産施設に勤めていた関係もあって、現在も障害者の人達との付き合いがほそぼそと続いています。私がカイロプラクティックという職業に従事してからは、カイロプラクティックの施療をとうしての付き合いも加わっています。
動きが制限され、無理を重ねざるを得ない障害者にとって健康問題は切実なものがあります。障害者自身の取り組みもなされています。以下は障害諸団体の機関紙に請われて書いたものです。


自立生活センターHANDS世田谷HANDS通信№25

特集 健康管理について
今回の特集は体あっての楽しさということで「健康管理」を取り上げてみました。事務局長の横山氏の25年来の友人でもあり、助言者でもある徳義公明先生に一般的な健康管理について原稿を書いていただきました。徳義先生は新宿カイロプラティック院を開いて多くの患者さんを診ておられます。障害者の二次障害についても経験豊富です。
障害があっても無くてもストレスをためないで自分自身を肯定的に考えて人生を楽しく暮らしていけたらと考えて特集しました。

うーん。もう朝か。起きたくないな。
昨夜は遅くまでワープロを打ってしまった。今までの口述筆記に比べて、自分の考えをあれこれいじれる快感があってついつい夢中になってしまった。  
快適な目覚めとは言えないな。腰の中心に痛みがある。腕から手にかけて痺れも走ってる。首を持ち上げようとすると痛 みで出来そうにないな。しばらくすれば、少しは落ちつくか。

この所、便秘が続いている。トイレに行かねば。下っ腹がはり、食欲もないのは便秘のせいか。おしっこもうまく出ないときが以前あったな。あれも苦しいものだ。残尿感もいやだった。今日はなんとか出たが、固いうんちでお尻がヒリヒリする。トイレの改造はしてあるんだが、ウンチングスタイルが股関節に作用して辛い。

介助者に歯をみがいてもらうが、ガラガラッと口すすぎがうまくできないから面倒な思いをする。歯の治療に行かねばならぬがこれも面倒いな。
朝食は抜かすか。朝昼を兼ねてどこかで弁当を買おう。今は薬を飲むため、ビスケットを二、三枚食えばいいか。
それより、今日は都庁に行かねば。役所というところは、こちらから強く要求しないと何もしないからな。時々、行政の仕事の肩代わりしている様でうんざりする。社会環境が充実していれば自分のしたいことを自由にやっているだろうにな。青春を返せ、だな。今は使命感だけが先行している気もしないではない。

都庁までは、いつものように電車利用だけど、今の車椅子は体に合わなくなっている。最近、車椅子に楽にまっすぐ座ってられなくて、上体が右に傾いてしまうから、電車の揺れや、階段の昇り下りは体全体のこりを招いて辛いものがある。長い話し合いの席なんかも、背中、頚から肩にかけて、こわばりが強く出るな。おまけに、しゃべること一つをとっても、おれ達には全身運動の連続なんだから、体への負担はすごいと思っていい。そんな条件の中で生きているのだから時々、自分で自分を誉めてやってる。

都庁の帰り、少し無理をしてP君の見舞いにいく。養護学校時代からのポン友だ。独歩でずっと頑張ってきてたが、春先頃から体のふらつきが激しくなって、よく転ぶようになった。上肢の痺れも強く、入院前には、体を横断するような感覚マヒが、日を追ってズンズンと下に降りてくる恐怖感は他人に伝えられない、と言ってたな。近日中の手術を待っているP君。ずいぶん迷った末のことだ。見舞ってるときはジョークばかり飛ばしていたが、こっちはうまくいくことを祈るしかない。

今日は強行軍だったし、介助者も栄養不良気味だから、帰りがけに居酒屋で一杯やっか

・生活時間、生活リズムの問題。規則正しい生活は自律神経に負担をかけず働きをスムーズにする。
・ワープロに向かうときなど、生活の中での姿勢の問題。決まった姿勢にかたよりがちな障害者にとっては大問題。
・やりすぎ、頑張りすぎの問題。二次障害に直結する。
・痛み、痺れ、機能低下、緊張の増加。
・寝具など生活用品の問題。
・便秘。排尿困難は頚椎症からくるものあり。
・トイレの改造など住環境の問題。将来の機能低下もあると考えて、段階的流動的に使用可能なものの開発の必要性。
・歯の管理・介助の受け方の問題。
・食の問題。施設に入っている人の場合栄養学的には満足できる献立が出されているだろうが、どう食べられているかは軽視されがち。
・薬の問題。自分の服用している薬の特徴を副作用を含めてよく知ること。筋弛緩剤鎮痛剤を常用していると新たに病気になったときなど本来の症状がカモフラージュされ気づくのが遅れる場合あり。小さな異常でも大騒ぎするべし。
・ストレスとのつきあい方。知り合いの障害者には真実一路、猪突猛進、一心不乱タイプが多い。好人物とも言えるが、おいそんな感じで続けていれば、つぶれちゃうぜ、二次障害だって待ってるんだぜ。と日頃から気になる所。万病を精神的なストレスで説明する人もいるのだから時には手抜き工事で息抜き、ガス抜きもお願いしますと言いたくなる。
・二次障害の問題。過去からの積み重ねの問題でもある。自分が今まで何を頑張って来たか、その時、体のどこに負担をかけてきたかを考える。それが首だった場合は、症状が手足の神経症状、体幹の感覚異常、排尿困難など、一見、首とは関係ない、離れた所に症状が出るので要注意。(頚椎症)手術だけが解決の道の時もあるので、判断を誤らぬように。
・医者、病院選び(情報ネットワークの充実を)

勝手に想像した友人の生活の一コマですが、右に書き出したように健康に関しては問題や課題が目につきます。
 健康について、皆さん、知識情報は豊富にお持ちです。充分すぎると思えます。
でも実際には自分の健康管理に不安を感じている人が多いのが現状でしょう。知識が混乱してたり、実行が難しかったり、日常生活に追われたりと理由はいろいろあります。
 ここでは一般的な健康論を、日常取り組める形で整理できたらと思います。
健常者も障害者も健康論は同じです。が、障害者は障害故に実行が困難だったり、障害故にさらに健康を損ね続けていくことがあります(二次障害)。ですから、一般的な健康法を自分の障害に見合った形に味付けし直さなければなりません。その参考になれば幸いです。

難しく考えないで自分の行動の一つ一つを次の4点でチェックしてみてください。
正しく(程良く)入れているか、出しているか、動かしているか。休ませているか。

 考え易いのは食事です。
正しく(程良く)入れることが意外と大変なのです。

  • 規則正しく食べているか。(動かす、休ますに関係します)
  • 食べ過ぎとか偏食はないか。
  • 栄養のバランスは良いか。
  • 良く噛んでいるか。
  • 気分良く食卓についているか?

簡単なことだけど、これだけを守るのは大変です。
偏食の多い障害者は以外と多いはずです。魚の骨とりが面倒くさくて(誰が面倒くさいか問題ですが)魚嫌いになっていたり、長い食事時間故、後回しにもされ、冷めたものしか食べられなかったり、小さい頃から固いものを食べさせられなかったりの結果、偏食になる場合があると思います。
よく噛めと言われても、緊張の為、口の中で食べ物がうまく噛みやすく撹拌してくれなかったり、噛み続けること自体が重労働でつい満腹感だけを求めて、又、食事時間をせかされて、固まりのまま飲み込んだりしてしまいがちです。
又、歯の治療がアテトーゼなどを理由に敬遠され、大事件になるまで、放置されている人も多いと思います。過去はともかく、現在取り組めることを遅まきながら自分や周囲の知恵で工夫するしかありません。

うまく出しているか。便秘対策は一般に6つ位のことを守ってもらいます。

  1. 規則正しい食事。
  2. 野菜など繊維物を食べる。
  3. がまんしない。
  4. 腰の背骨の生理的(正しい)弯曲を維持する(背骨の両側から消化器系に交感神経が出ている関係)
  5. 適度な運動。
  6. くせをつける為に出ても出なくても決まった時間にトイレに行き努力する。

障害者にとって不利なのは③がまん(介助体制など社会環境が影響します)④背骨(動く、休めるに関係してます)⑤運動でしょう。
④背骨⑤運動について関連づけて少し考えてみましょう。
腰の背骨はゆるやかな(適度な)前弯(お腹に向かってのカーブ)になっているとき、体を無理なく支えています。背骨の両脇から出る神経も圧迫を受けず十分に働き、背骨どうしの関節もよく機能し、筋肉への負担も最小限に抑えられます。この腰の部分の前弯を失うと便秘になる傾向が強くなります。もちろんそれが腰痛の原因になっている場合もあります。
腰椎の前弯消失は腰を後ろ曲り(上半身を前かがみにC型に曲げた状態)に長く使い続け、次第に背筋を弱くし、腰椎の前弯を維持できなくなった結果です。改善するためには、よく歩く、よい姿勢を保つなど、背筋を使うことによって背筋を強化しなければなりません。
しかし、多くの障害者は思うように運動することができない。理想とする姿勢では立つこと、座ることが出来ないわけです。おまけに、自分の意のままにならない不随運動まであります。そんな中で可能なことはどんなことでしょう。

  1. 同じことを長く続けない。(同じ姿勢を続けない。)そうも行かないときは、休憩をまめに入れる。できれば横になって自分流ののびをする。(利用施設に畳部屋とかベッドなどがおいてあり、手軽に利用できるとよい。)リクライニング式の車椅子が光っている。
  2. 深呼吸をまめにする。呼吸の苦手な人も多いでしょうが、吸うか、吐くか、少しでも得意な方だけを、なるべくゆっくりやり切るようにする。吸い続け、吐き続けは不可能だから知らぬ間にさっきより深い呼吸をしていることになる。(腰椎を後弯させたままで深呼吸はできない。)
  3. 筋肉、腱をストレッチする。自分でやる場合は足ではかかとを、手では手のひらの付け根を、背筋ではあごを体の中心からなるべく遠くへ持っていくようにのばす。他人にやって貰うときは、筋緊張、筋硬縮がある人は特に抵抗がすごいので、軽いマッサージなどでリラックスした上で、ゆっくりと許される範囲で顔色をうかがわれながらやってもらう。

詳しく書けばきりがない気もしますが、要は日頃取らざるを得ない自分の姿勢の逆の方向への体操をゆったりと呼吸に合わせて、本人ペースで、まめに行うことです。
正しく(程良く)入れているか、出しているか、動かしているか、休ませているか。この4つは相互に関連しています。4つワンセットでご自分の健康管理をお願いします。


自立の家をつくる会 ぷれす自立の家 №42
二次障害と障害者医療の情報誌(仮) 創刊号

二次障害について(カイロプラクティック施療者の立場から)

1.c.p.は後遺症である。

確かにそうだけど、c.p.は後遺症である。と言われても、何か、斬り捨て御免で、後は知らん顔という感じがしてしまう。じゃあ、現在進行形の、この痛みや、痺れは、何なのか?数年前まで、出来ていた動きが、思うようにならなくなったのは何なのか?

2.二次障害は後遺症故の後遺症。

二通りの後遺症が考えられる。社会的心理によるものと、身体そのもの。

イ、 社会的心理によるもの

一昔前、障害者の努力目標は、少しでも健常者に近づくことだった。歩けない者は歩けるように,立てない者はたてるように、一人で食べれない者は食べれる様に、喋りにくい者は喋れるように、等々と、その努力は果てしない。
社会が,世界が、障害を持つた者を認めないと、障害者は自分の障害を否定するしかない。一種の強迫観念に駆られて健常者に近づこうとする。で、その成果はどうだったか。上手くいったものもいる。でも上手くいったものでも、その20年後はどうなったか?それが二次障害の問題だとおもえる。良かれと思ったことが仇になる。昔の無理がたたる。社会的脅迫による結果だとも云える。
あるがままの障害を、そのまま社会的に認めることが、こんな場面でも重要になっている。

ロ、 身体そのものによるもの

C.P.の身体的特徴に、アテトーゼ(不随運動),強直性麻痺、弛緩性麻痺などがあるが、いずれも本人の思いにまかせぬ動きである。車椅子に乗っているだけで姿勢を保つための緊張を強いられる。この場合本人も気付かぬ緊張もある。独歩の者は左右の筋肉の使用度を極端に違えねば歩けない場合が多い。着地の度に大きな衝撃を足、腰、首に与える者も多い。
何かの作業をする時、アテトーゼのため頭を激しく左右に振ってしまう。
これらの動きは筋肉を過度に疲労させ、関節に無理な力を及ぼす。(それは生きている限り続く。不随運動の時の筋肉の力は、抑制的に働く神経が解除されてるため、むき出しの筋収縮力となる。これは通常の健常者の筋力を超える程だからたまったものではないはずだ)長年の筋疲労、関節への負荷による、関節の変形、脊椎の歪みによる神経根圧迫、椎間板ヘルニアによる脊髄圧迫が二次障害をまねく。

3、カイロプラクティックの施療をとうして

このようにC.P.は常に精神的、肉体的緊張を強いられる傾向にある。一方,障害ゆえの運動不足もある。健康と言うものを考える時の手立ての多くをあらかじめ閉されている。C.P.の二次障害に対して、カイロプラクティックが特段出来る事と問われると、はたと困ってしまう。(考え方として、背骨の在りようが神経の働きに密接に関係したものである、ということが注目点なのだろうが、まともに考えれば、当たり前の話にすぎない。)高度な二次障害となれば外科的手術が必要になったり、その手術さえも不可能、無意味な状態になっている者もいる。そんな時、施療する者が(この場合、理学療法、運動療法、整体、鍼灸、指圧、按摩、マッサ-ジなど医療周辺行為に従事する者と拡大して考えてよいと思う)出来ることは、リラックスしてもらったり、関節を拡げたり、筋肉を伸ばしたり、可能な運動を補助したりに限られる。
だからここでは過去C.P.の方に、不甲斐なくも限定された、カイロプラクティックの施療を試みたものとして、思いつく事をいくつか述べてみたい。

ハラハラさせるおふるまい

☆ 乱暴な体の扱い。

たとえば車椅子から降りる際に、両膝に全体重を預けて、床にドスンと落下するように降りる人がいる。膝を見せてもらうと、古い傷跡とともに皮膚が角質化し、関節もでこぼこに腫れている。このような降り方は、膝だけでなく、首にも強い衝撃を与え続けることになる。C.P.の二次障害の代表格である頚椎症への道をひたすら歩いていることになる。C.P.はスムーズな動き、微妙な動きがにがてだ。そしてアテトーゼを最小限に抑えるためにも瞬間芸を披露することになる。やむを得ぬではないか。でも二次障害は着実に忍び寄ってくる………それなら各自がそれぞれ出来る範囲の工夫をするしかない。介助者の手を借りて軟着陸する。膝に緩衝用のサポーターをする。降りる場所が決まっている場合は、床にラバーのような用材をはめ込む。等々。

☆障害部位を邪険に扱う。

と言うと言い過ぎなのかもしれないが、わりと無関心だとぐらいは云えそうだ。特に感覚が麻痺していると、痛いとか、痺れているという感覚が乏しいため、その部位の冷え、むくみ,けがに対して無頓着な人が多い。本来、最も、手当てとか管理が必要な部位のはずだ。また、アテトーゼを抑えるため、自分なりに手,足、肩を車椅子に引っ掛けたり、押し付けたりして体を安定させてる人も多いだろうが、その部位は強い緊張で圧迫されるため角質化してたり、炎症を起こしてたりしてる。車椅子側に充分な緩衝用の工夫が必要だ。

☆ 同じ姿勢をとり続ける。

とり続けざるを得ないわけだが、車椅子に乗り続ける生活には問題がある。C.P.の場合、座位の姿勢を保つのにも緊張を強いられ、特定の筋肉のみ使用する時間が続く。重心が左右に偏ったまま、体がねじれたまま、その人特有の、そして一種類だけの姿勢を続けることになる。一般に筋肉は長時間連続使用に耐えれない。無意識に連続使用を避け、知らぬ間に体位を変換している。しかし、C.P.はそこが苦手だ。褥痩の問題もあり、頻繁な姿勢変換、あい間あい間の適度な体操が必要となる。長時間同じ作業を続けない、リクライニング式の車椅子を使用する、集会所・会議室など利用する場合はベッド代わりのものを用意して随時体を休めるようにする、等の注意が必要。

☆ 無茶な生活。

断定すると叱られそうだが、C.P.には無茶な人が多い。気に入った事に出くわすと、とことんやる。一度使命感に燃えると、寝食を忘れ勝ちだ。それがその人の魅力になっている場合も多いので無粋な事は云いたくないが、二次障害対策を突き詰めていけば、当たり前の健康管理にいきつく、ということに留意してほしい。生活リズムを狂わせ続ければ、自律神経のバランスを崩す。いわば体の自動操縦装置を外して生きていくことになるのだから。ゆったりした生活時間、規則正しい食事(バランスのとれた栄養はもちろん)、充分な睡眠。これら当たり前のことを繰り返しチェックしてほしい。

二次障害を拡げて考える

二次障害というと整形外科の分野に限定して考え勝ちだが、総合的に取り組むことが大事だ。上半身をC型に使い続ければ、深い呼吸はできない。慢性的に酸欠状態で生きていく事になり、いろいろな臓器に悪影響を及ぼす。とくに心臓の負担は大きくなり心筋肥大へと向かっていく。少ない酸素量で全身をまかなうには、血圧を上げるか、心拍数を増やすしか手立てが無いからだ。また、消化器系、泌尿器系も狭い空間に押し込められたままの活動を強いられ、充分な機能を発揮しない。
成人病の加速化。と言うことも考えられる。成人病の予防・治療の一つの柱は適度な運動をする事だが、C.P.の多くは自分でやる運動に著しい限界助者をはじめとして、運動を補助する者が必要となる。

☆ 五百円治療が出来たら。

五百円には、比較的安い料金でという以外に何の意味も無いが、その人の健康状態・機能状態にとって、最も重要・不可欠な体への手当てを、短時間でもいいから継続的に出来たらと思う。

☆ 年少期の機能訓練について。

その時点で出来ないことを出来るようにというのが基本なのだろうが、20年、30年先を見越したリハビリを受けてもらいたい。筋肉・腱の切り伸ばし手術を受けた人も多いのだろうが、そこに至るまでに筋肉・腱に、ストレッチなど非観血的療法がどれほどなされたのか疑問である。緊張があるから筋肉・腱の拘縮があるのは当たり前、というあきらめ・錯覚が医療側にもあるのではないか。C.P.は、筋肉・腱の病気ではない。
麻痺してる部分も同様に考える必要がある。麻痺による筋萎縮は病気ではない。放置された結果だ。麻痺してる四肢は用無しではない。邪険に扱われながらも立派に生きている。痲痺部へのマッサージ、温浴、運動(負荷を与える)など、血行を促進し、筋萎縮を予防する必用がある。そして、これらの事は幼少期からの地道な継続が必要となる。

☆ 身近に医者を

個人差はあるだろうけど、適切な医療を利用しているか疑わしい。現在、4、50歳のC.P.の方は基本的に内臓関係が丈夫だということもあるだろうが、大事件が起きるまで医者と無縁な人が多い。残念ながら、かつての医療関係者からそれとなく敬遠され、おざなりの扱いを受けた印象を持っていることも加味しているのかも知れないが、医療はサービス業との認識を新たにして欲しい。C.P.人間ドッグを企画して欲しい。特に歯の治療を放置しているC.P.の多さに驚かされる。

4、施療の実際 (誰でもが出来るものを選んでみた)

上部頚椎の施療 :後頭骨と第一頚椎、第一頚椎と第二頚椎は睡眠不足、ストレスによってずれやすい。首の緊張が少ない人には関節の矯正をするが、緊張の強い人には、ずれた関節部を指でゆっくり押し込んだり、頚部の筋肉をストレッチして左右のバランスを整える。

下部頚椎・上部胸椎の施療 :(背中が猫背になり両肩が前にセットされるタイプの人は、この部分の関節が固かったり、湾曲が強すぎるとムチ打ち症状が出やすい。又、肺、心臓を管理する交感神経が出ている所なので、年を経てからの健康状態を左右する)呼吸も浅くなりがちなので、両手を伸ばし胸郭を開くようにして伸びをしてもらう。この時、自動的に関節の運動をしている事にも成る。

腰椎側湾の施療 :(体重のかけ方が左右どちらかに偏ると、左右の背筋の鍛えられ方が違い、背骨を歪めてしまう)仰臥で膝を立ててもらい、左右にゆっくり、ねじり運動をする。

腰椎後湾の施療 :(本来ゆるやかな前湾であるべき腰椎の並びが、長年、上半身を前かがみにC型に曲げる姿勢を続けた結果、背筋が弱くなり前湾を維持出来なくなった状態。痩せ型の車椅子利用者に多い)伏臥で逆エビ固め風にゆっくりストレッチする。

腰椎過前湾の施療 :(独歩の時、座位を続ける時、お腹を突き出さねばバランスが取れない人に多い。上体の重みが腰椎の4・5番に集中し、腰痛を招く)                  
イ) 仰向けになってもらい、両足首を持ち上げ、腰はなるべく床に落としたまま、腰のベルト
付近の椎間(腰骨と腰骨の間)が開くように牽引する。                     
ロ) 敷布団を丸めて、うつ伏せでへの字に乗ってもらい、上半身と骨盤を離すイメージで、仙骨の部分を下方向に押すように力を加える。

股関節への施療 :(変形してたり脱臼している人が多い) 大腿骨とその受け皿(股関節臼)の空間があくよう牽引する。仰向けに片膝を立ててもらい、膝の裏に施療者の膝を当て、本人の気持ち良い方向にゆっくり引っ張る。

手首・手指・肘・足首・足指・膝窩の施療 :(いずれも拘縮した腱により屈曲したままの状態が多い) 許される限度までゆっくりと関節空間を開けるよう、屈曲の反対方向にストレッチする。手首の場合握手するように、手の指の場合一本一本の指をからませ組み手を組むようにするとよい。

5、さいごに

繰り返すことになるが、C.P.の二次障害対策をつきつめれば、ごく一般的な健康管理にいきつく。ただでさえ健康管理は言うは易し、行うは難しの典型である。ましてC.P.は部分的には過度の運動を強いられながらも、全身的には決定的な運動不足とならざるを得ない。
その上、毎日の生活環境が社会的にまだ確立されていない中で、自らの生活維持の為に労力を割かれる。そうした不利を抱えての健康管理は、地味な努力を怠らない強い意志の持続と、周囲の協力体制、社会制度の整備が必要となる。
個々人の方には、あまりくそ真面目にならずに、時に手抜きさえして生活して欲しい。体に対しては、ゆったりさせる、自分流に体を開くイメージで暮らしていただきたい。

▲このページの先頭へ