弟子の愚問、師の誤答

2008年10月15日(水)

お腹をマッサージしてすぐにゴロゴロと動くのは良い反応?それともあまり良くない反応?ですか。
sisyou0027

消化器系の動きは、グニュグニュ、モゴモゴというイメージがあるが、実際は一分間に数回、グッグッと穏やかに分節運動をしたり蠕動運動してるものらしい。

質問に対する答えじゃが、師匠は2段階に考えている。消化器官が健全に働いているのであれば、マッサージなどによる刺激が与えられても消化器官はたいして反応しない。もう既に仕事は終えているのじゃからな。

新たな刺激でやっと動き出すというのは、それまでの消化器官の働きが今ひとつ、という意味ではあまり良くない反応といえる。
じゃが、今まで活動の不活発な消化器系が適度な刺激によって動き出した、という意味では良い反応と考えるように。一つの事象に出くわした時に、様々な視点から観察、考察するというのは、臨床の第一原理じゃ。

2008年10月8日(水)

あお向けで患者さんのお腹をさわる時、上から真下に押しちゃだめ、と師匠は言いますが、お腹の中のどこに対する気遣いですか?
sisyou0026

これに関しては師匠は全然理論的じゃない。悪いけどな。

師匠が修行時代にある先生から、そう注意せよと教えられたその教えを20年経った今も律儀に守っているというのが実態なのだから、あまり知的とは言えないな。

しかし、こうして質問されると、当時を思い出し、果たして弟子である君が師匠である私の教えを師匠のように素直に守ってくれるのかと考えると、ちょっとした不安感に襲われるな。

正確には、お腹を上から真下に強く押しては駄目、というお言葉じゃ。当たり前といえば当たり前の話じゃが、その患者さんに見合った押圧は、君も経験しとるように意外と難しい。

触診の時は、強い力だとかえって内臓や筋肉の様子が分りにくくなってしまうし、反射で腹壁を固くしてしまう患者さんも多い。患者さんの体から情報を貰うのだから、ここは丁寧に、な。

2008年10月1日(水)

胸椎の歪みで胃が悪いんじゃないかな~って時は、肝臓も同じく悪いんだろうな~ですか?
sisyou0025

解剖学によると、胸椎の5~9番の椎間孔から出る交感神経は食道下部、胃、十二指腸、肝臓、すい臓、脾臓に行っている。だから、背骨だけをみて、胃が悪いとか、肝臓がどうのこうとは特定できない。

整体など、経験論に基づくところの多い手技療法の世界では、胃は5番、肝臓は9番というように限定、断定してるようだが、師匠にはそう言い切る経験も自信もないな。内臓と背骨の関係は、内臓に異変があれば必ず背骨に狂いが生じる。だけど、背骨に異常があるからと言って、内臓にトラブルがあるとは言い切れない。機能不全に陥っている可能性がありますよと言えるだけだ。必要条件、十分条件の違いと思えば判りやすい。

師匠は人を見て判断するようにしてるけど。師匠のような奴が来たら、胃など疑わずに、肝臓を疑う。阿吽の呼吸じゃよ。

2008年9月24日(水)

ビタミンCは何故動物から摂取できないんですか?動物では人間だけが必要としているってことでしょうか?
sisyou0024

あれ!そうだったっけ!確かに言われてみればビタミンCをとろうとした時、柑橘類をはじめとして植物しか思い浮かべないよな。その事実と、人間以外の多くの動物がビタミンCを必要としないこととを結び付けたのは、久々の弟子の快挙じゃよ。

うろ覚えじゃが、人間と猿の一部だけがビタミンCを必要としている。他の動物は自力でビタミンCを作っているはず。必要なだけ生産し、消費してるはずなので、当然その体内にはビタミンCは存在しない事になるよ。どうして、こんな事が起きるのか?
きっと、何十万年もかかって継続された人間の食生活がそうさせたのだろう。

エスキモーはビタミンCの手に入りにくい地域で暮らす時、ビタミンCを自力で作り出す能力を獲得している。適応というのはすごいね。もちろん、そこに行くまでには気の遠くなるような時間が必要だけど。

2008年9月17日(水)

寝ることに体力なんて必要なんでしょうか?
sisyou0023

体力の定義によるよ。普通思い浮かべる体力は要らないかも知れない。歩いたり、走ったり、飛んだりする大きな移動はない訳だから。しかし、それでも寝返りを打ったりすれば立派な体力使用だよね。

体の話は微細に見ることが必要だ。寝ている自分を想像してみてよ。寝相よろしくおとなしく寝てるにしても、息はしてるだろう。その時、君は横隔膜と肋間筋を無意識のうちに動かしているだろう。当然心臓だって動いているよね。寝ている間には、消化器系や泌尿器系が副交感神経支配の下フル回転している。

もっと微細にみれば、肺では肺胞細胞がガス交換をしている。腸では分節運動、ぜん動運動と同時に様々な消化器々官が消化酵素を噴出している。腎臓では血液を濾過し再吸収している。実にめまぐるしく働いておるんじゃよ。それらは皆、ブドウ糖をATC回路にのせてエネルギーを生産していることに裏打ちされている。寝ている間も生き物は体力を相当使っている、というのが師匠の答え。

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